2回目の無料ビジネスセミナーへの参加

最初の無料セミナーは、無料とは思えないほど感動的で、学ぶべきことが多かった。もちろん、それが有料セミナーへの誘導であることは理解していました。その後、2回目の無料ビジネスセミナーが代々木で開催されると知り、再び参加を申し込みました。

次のセミナーは「ゲリラマーケティング」に関するものでした。実際にお金持ちになるためには、ビジネスを成功させる必要があり、そのためにはマーケティングが不可欠だということです。

私はこのゲリラマーケティングのセミナーに参加しました。参加者は前回よりは少なかったものの、おそらく50名はいたのではないでしょうか。

このセミナーで特に印象に残ったのは、行動力を試すために外に出て、主催者の書籍をキャッチセールスで見知らぬ人に販売勧誘するセッションでした。これは意外と衝撃的な体験でした。要は外に出てキャッチセールスをしてこいということですが、当時の私は営業職であっても見知らぬ人に声をかけることに恥ずかしさを感じる性格でした。主催者によると、収入を増やすためには自分の快適領域を広げる必要があるとのこと。確かに、セールスは実戦であり、真のセールススキルは座学だけでは学べません。

この外でのキャッチセールスも、自分にとっては快適領域から外れることであり、行動力を高めるためにも必要だと理解しました。

実際にはペアで行動しました。この時、私の中には「いきなり見知らぬ人に売りつけても誰も買わない」という先入観がありました。やはり、そういった思い込みがあると上手くいくはずがありません。私とペアを組んだ人は、結局何も行動せずに終わってしまいました。しかし驚いたことに、実際に見知らぬ人に100円で書籍を売る参加者もいました。私は驚きつつも、「売れない」というのは自分の先入観だと気づきました。

そう、人は今までの経験によって何らかの先入観を持っています。先入観を捨てる重要性を学んだのです。

会社を辞める決断

私が会社を辞めることになったのは、上層部による考え方や環境の変化、給与や待遇、人間関係の変動に疲れを感じたからです。私がこの会社に入るまでには様々な経緯がありました。最初に応募した会社の新規事業が失敗し、そこで知り合った上司に次の会社へ連れて行ってもらいましたが、その会社も上層部による売却でIT系の企業グループの傘下に入り、環境が大きく変わりました。その後、後輩が独立することになり、私はそのZ社に創業期から参加しました。Z社では当初、人間関係も良く、仕事は厳しいものの、充実感がありました。しかし、社長が株を売り、IT系グループの傘下に入ると、環境は再び大きく変わりました。

私は常に、上層部による給与や人間関係の制度が頻繁に変わることに嫌気がさしていました。特に、自分にとって良い方向に変わるのではなく、耐え難い内容への変更が多かったです。この制度は、一部の上層の人間と株主にしか利益がなく、営業マンを酷使するインセンティブ制度の導入には耐えられませんでした。Z社では、シンプルな給与インセンティブ体系で満足していましたが、リーマンショックによるリストラの嵐が吹き荒れました。Z社でもリストラが始まり、多くの有能な若手社員が自主退職しました。私はリストラ対象ではなく、後輩の社長からも一緒に頑張ろうと言われていました。

しかし、ある資料を偶然見たことで、私の考えが大きく変わりました。それは総務のトップから社長への提案内容で、Googleデスクトップを使って「社外秘」と検索したところ、あるドキュメントがヒットしました。そのドキュメントには、創業以来勤めている社員のインセンティブを下げるような内容が記載されていました。会社が生き残るためにはコストカットが必要であることは理解できますが、同時にもう一度、上層部の考えに振り回されるのは嫌だと心から思いました。

そして、これがサラリーマンの宿命だと理解しました。サラリーマンは、自分の給与や環境を自分の意思で決めることができないリスクと引き換えに安定を得ているのです。これが現実だと悟りました。

そこで、サラリーマンを辞めて業務委託や半独立を選ぶことを考えました。少なくとも、会社に環境を決められず、稼いだ分だけ受け取ることができます。しかし、この考えが現実的でないことも理解していました。業務委託になって0から営業を始め、毎月20万円以上の収入を得るには最低1年から2年はかかると計算していました。

しかし、2回のセミナーを受けたことで、私の考え方は大きく変わっていました。無理だと分かっていても、業務委託に転身するなら年齢的にも最後のチャンスかもしれないと思いました。また、自分の収入や環境を会社の都合に左右されるのは嫌だという気持ちが強く、会社を辞めて業務委託になることを決断しました。

今振り返っても、これは今までの自分では考えられないほどの大きな決断でした。家族もいて生活を支えなければならない中、私は無謀な決断をしてしまいました。この決断の原因は、恐らく2回受けたセミナーにあったのでしょう。

最後の決断を後押ししたのは、全てを取り戻す力を得ること

現実には、会社を辞めるという決断はなかなか下せないものです。論理的に考えても、それが無理だと思い、生活が困窮することは明らかでした。

しかし、私の決断を後押ししたのは、ある書籍の一節でした。

「今、財産をすべて失っても、3年後には全てを取り戻せる。これが真の能力だ。」

これまでの私の不安、いつか顧客を失うかもしれないという恐れを解消するのは、全てを失っても3年後に全てを取り戻せる能力でした。私が求めていたのは、お金そのものではなく、お金を生み出す能力でした。好きな時に、好きな場所で、自分が必要とするだけのお金を生み出す力。そう、私が本当に欲しかったのは、何度失っても何度でも立ち直れる能力だと気づいたのです。

果たして、自分は失ったものを取り戻すことができるのか。それを試すチャンスが今、私の前にありました。この考えが、私に会社を辞める最後の決断をさせたのです。

結果としては、容易ではありませんでした。しかし、少なくとも私は底辺を経験しながら、約7年の歳月をかけて、なんとか全てを取り戻し、さらにプラスアルファを得ることができました。その詳細は別の機会に話すとして、しかし、もう二度とこのような経験はしたくないというのが正直な気持ちです。