前回のvoiceセミナーのベーシックの続きです。
前回、voiceのベーシックセミナーに参加しました。それは2日間のセミナーでした。
1990年代当時、この手の自己啓発セミナーには、ベーシックからアドバンスこースまで強烈な勧誘が行われることが多かったのです。ひどい場合には、借金してでも参加するような強引な勧誘が行われ、それが社会問題となっていました。しかし、このセミナーでは、そのような強引な勧誘は一切ありませんでした。
外国人講師の2人は、冗談交じりに勧誘を行っていたものの、決して強引ではありませんでした。自然とセミナーの雰囲気が盛り上がり、ベーシックの参加者がアドバンスに参加したくなるような雰囲気になっていました。
この種のセミナーでは、友達を勧誘する「エンロール」というのが一般的ですが、このセミナーでは「自分が気に入ったら他人に紹介する」という程度で、強制的なものではありませんでした。それにより、多くの受講者が自分の友達や恋人を誘って参加していました。興味がないと思われる人も、区別なく参加していました。
私も、ベーシックを受講した何人かの知人が参加するということで、参加しました。次のセミナーでは、何か自分に変化があることを期待していました。
僕がアドバンス参加を決めた理由
このセミナーの卒業生同士は、男女問わず、楽しそうに踊ったり、自分を表現して楽しんでいる雰囲気だった。そして、特に驚いたのは、卒業生同士のハグする習慣だった。挨拶代わりにハグをすること、男女や同性同士の間で。また、恋人同士でもないのに、男女が手をつないだり、女性が男性に子供のように寄りかかったりして、特別なスキンシップを取っていた。男女が触れ合うことに対する抵抗がない雰囲気があった。いくつかのカップルはセミナーを通じて知り合い、その後恋人同士や結婚することもあった。本音を言うと、当時彼女のいなかった僕にとって、このような空間は非常に魅力的だった。セミナーの中で、私も女性の参加者とハグを交わすことがあった。少し緊張したが、本能的に「これが欲しかったんだ」と感じた。
正直に言うと、僕がこのセミナーに参加した理由の一つは、女性との良好な関係を築けるかもしれないという思いがあった。そして、もちろん、彼女ができることを期待してもいた。このセミナーの卒業生は、以後無料でオブザーバーとしてセミナーに参加することができるという特典があった。私は約2年間、このセミナーに通い続けた。その間、女性と2人で遊ぶ機会は2回あったが、しかし恋人同士にはなれなかった。僕がアドバンスセミナーに参加した背景に、このような動機があったことは事実だ。
アドバンスセミナーの内容
30年以上前のことなので詳細は覚えていないが、以下のような内容だった。
1日目:傷つきのワーク
2日目:感情解放のワークと自由に表現するワーク
3日目:自分を表現して宣言ワーク
4日目:グランディング、ゆりかご、瞑想や癒しのワーク、そして卒業
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」この言葉は講師が繰り返し強調していたセリフだった。参加者の中には、DVを経験し、対人恐怖症のような状態にあった女性がいた。彼女は人を恐れており、何も行動ができない状況だった。
講師は彼女に向かって
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
「あなたが動くまで何も変わらない」
という言葉を何度も強く繰り返した。彼女は泣き始め、周りの参加者はその様子を黙って見守った。
講師の人は情熱をもって繰り返した。
僕はそこに愛を感じた。
このセミナーでは、感情がもやもやしている状態や、自分から動けない状態を「滞っている」と表現していた。ある参加者は、「滞っている」という言葉が非常に的確だと感じていた。人は本来、エネルギーや感情が自由に流れる状態であり、心の問題を抱えると、そのエネルギーの流れが止まってしまう。ただ、その「滞り」を解放することで、元の状態に戻せるのだ。
今も、行動が取れなくなる時、私はその時の講師の言葉を思い出す。そして、自分自身に「あなたが動くまで何も変わらない」と繰り返し唱える。もちろん、その言葉に勇気づけられ行動できる時もあれば、そうでない時もある。しかし、この言葉が私の人生に影響を与えたことは間違いない。
自分の正しさを相手に押し付けない
私が参加したセッションの中で特に印象に残っているのは、「自分の正しさ」という概念を相手に強要しないという教えだった。
人々はしばしば「自分の正しい考えや信念」を他人に伝えたくなるが、このような主張の仕方が時に人との関係を悪化させる原因になることがある。講師はこの点を説明するために、とても分かりやすい実演を行ってくれた。
講師とある参加者が、腕相撲のポーズを取りながらお互いの手を握った。そして、お互いに「私が正しい」と宣言しながら、相手の手を強くひねろうとした。講師は、私たちが日常的に取るコミュニケーションのスタイルは、このような「力の張り合い」に似ていると言った。
例として、恋人同士が喧嘩をした時、自分の考えや感情を理解してもらえないことから怒りを感じることがある。その背景には、自分が正しいと信じ、相手が間違っていると考え、その信念を相手に強要しようとする姿勢が存在する。
講師は強く語りかけてきた。「自分の正しさを相手に強要しないでください。」そして、その後腕相撲の動作を止め、相手との張り合いをやめると、相手も自動的に動きを止めた。この時のポイントは、一方が押し付ける行動をやめれば、相手もその場で立ち止まり、何をすれば良いのか迷ってしまうということだ。
自分の正しさを相手に押し付けず、相手の意見や感情を受け入れることで、より円滑なコミュニケーションが取れることを示唆してくれたのだ。
天国と地獄の食事
最終日のセミナーで行われた「天国と地獄の食事」というセッションは、私にとって非常に印象的でした。昼食が用意された部屋に、参加者たちが集められましたが、通常の箸の代わりに非常に長い箸が配られました。この箸は食べ物をつかむことはできるものの、自分の口まで運ぶには長すぎて不可能でした。
さらに、私たちは片手しか使えず、話すことも禁止されました。最初のうちは皆、自分の食べ物を口に運ぶ方法を模索していましたが、やがて一つの解決策が浮かび上がりました。それは、自分の箸でつかんだ食べ物を隣の人の口へ運び、その代わりに隣の人が自分に食べ物を与えるというものでした。
このセッションを通して、私たちは重要な教訓を学びました。それは、自分の欲しいものを得るためには、まず他人に与えることが大切であるということ。天国と地獄の違いは、同じ状況でもどのように行動するかで変わることを示唆するこのエクササイズは、協力の大切さや他者への思いやりの重要性を教えてくれました。