1. セミナーハイ現象
前回の記事では、アートセラピーの経験について綴った。このような感情を爆発させるセミナーを受けた後、人によっては一時的に、見る世界が変わり、極度に高揚した気分になる。まるで何らかの麻薬を摂取したかのような感覚だ。私もこのセミナーを受け、一時的にそのような気分になった。このハイな状態が続く間は、落ち込んだり、興奮しやすくなったりする。この高揚感を本当の自分だと勘違いしていたが、この感覚はセミナー特有のものであり、それだけで人生が変わるわけではない。大切なのは、セミナーを受けた後に自分がどのように行動を改めるかだ。私はセミナー後、2日ほどは高揚感が続いたが、その後は普段の自分に戻った。
2. アドバンスセミナーの受講
さらに、アドバンスセミナーの勧誘も受けた。ただ、このアドバンスセミナーは15万円という費用がかかる。当時、大学生だった私にとって、15万円は決して少ない金額ではなかった。そのため、働いてその金額を稼ぐことに決めた。日給1万円の販売ナレーションのアルバイトをしていたが、それだけでは足りず、夜間にも雑誌の製本のアルバイトを始めた。この過程で、親との間にトラブルが発生した。親は私が何か怪しい団体にのめり込んでいるのではないかと疑念を抱き、アドバンスセミナーの受講を反対した。特に母は強く反対し、激しい口論となった。母は涙ながらに私を引き止めようとしたが、私は自分の決断を貫き、セミナーに出席した。
3. アドバンスセミナーの参加
アドバンスセミナーの参加者は前回と同じ人たちのほかに、uさん、kinamiさん、kawaguchiさん、gomiさんなど、数人が増えていた。前回と異なる点は、河口湖のホテルを利用したこと。その日は冬の冷え込む日だった。
具体的なセミナーの内容は詳しく覚えていないが、会場が防音だったため、ベーシックセミナーよりも体をより自由に動かすことができたという記憶がある。参加者全員で即興ドラマを行い、自分の内面と向き合った。自分が持っていた考えが誤りであったと気づき、本当に望むことへと方向転換していくのだった。
忘れられないセッション、●●君の「争いたくない」という気持ち
彼の名前は覚えていないが、私とあまり年齢は変わらないと思う。詳細はうる覚えだが、彼の言葉が強く印象に残っているので、ここに記す。彼は大学を中退し、電車の中吊り広告を張るアルバイトで生計を立てていた。セミナーの講師、Kさんが彼に、自分の願望やビジョンを設定するよう求めたが、彼はこれを頑なに拒否した。Kさんは微笑んで、「それなら●●君は、このセミナーをこれ以上続ける意味がないので帰るのか？」と問いかけた。彼は即座に「帰ります」と答えた。彼はセミナーでのビジョン実現のセッションを拒み続けた。その後、彼は涙ながらに「僕はもう人と争ったり、競争したくない」と語った。彼の中で、願望を実現することは、人との競争や闘争を意味するようだった。
確かに、何かを実現したいと思ったら、努力は必要だ。例えば、昇進を目指すなら、時には競合相手を超えることも求められる。ポストは限られており、競争心を持たなければ昇進は難しい。恋愛においても、好きな人が他の人との間で争奪戦になることもある。彼の心の中には「願望実現＝競争」という思いがあったのかもしれない。私自身も彼の言葉を聞いて、共感を覚えた。私も他人との比較や競争は疲れると感じることが多い。
アドバンスセミナーは、前回のベーシックセミナーと比べると、それほど強烈な体験はなかった。しかし、それによって自分の感情をうまく表現することができるようになったり、友人に自分のことを正直に話すようになったりと、自分自身をより理解し、正直に生きることができるようになった感じがする。