20代前半、私は精神世界系のセミナーに夢中になりました。交通費やその他の経費を含め、おそらく合計で150万円弱をセミナーに投じたことでしょう。そんな投資をした後、ライフスペースのセミナーを最後に、高額なセミナーを受けることはなくなりました。その結果が影響したのかは定かではありませんが、25歳の時には彼女ができ、やがて結婚を考えるようになりました。そうして世俗的な幸せを感じるうちに、かつて夢中だった精神世界やセミナーへの関心は次第に薄れていきました。心理学への興味は若干残っていましたが、精神世界への関心は完全になくなりました。不思議なものです。何かが満たされない時に精神世界に関心を持っていたのかもしれません。結婚して小遣い制になり、以前のように自由にお金を使えなくなったため、意識的に精神世界から距離を置くようになったのかもしれません。

今度はビジネス系セミナーにのめりこむ

しかし、次に私が夢中になったのは、能力開発や営業、ビジネス系のセミナーでした。20代後半から30代中半にかけて、私は仕事に没頭していました。営業職として朝から夜遅くまで残業する日々でした。営業成績は決して悪くはなかったものの、自分の能力には常に疑問を抱いていました。特にプレゼンやヒアリングが得意というわけではなく、テレアポも最初は得意でしたが、既存客が増えると新規開拓の能力が衰え、自分の能力に疑念を持つようになりました。

私の場合、特に新規開拓の営業をしなくても、これまで開拓した新規の顧客だけで何とか数字を作ることができていましたが、ある種の恐怖を感じていました。それは、「永遠の顧客は存在しない」という真理です。仏教にも似たような教えがあると思いますが、永遠というものは存在しません。つまり、今は安泰でもいつかは顧客がいなくなる日が来る。その時、自分はどう対応できるのか、新しい顧客を獲得できるのか、という問題です。余談ですが、このことに気づいていない中堅営業マンが多いと思います。

同僚に聞いても、「あまりそんなことは考えたくない、その時になって考えればいい」といった返答が返ってきます。顧客を失った時の準備や対策について何も考えていないようです。しかし、そこそこの大学を卒業した人たちも、同じような返答をします。みんなうすうす気づいているのだと思いますが、見ないふりをしているだけだと思います。

しかし、私は根が神経質で悲観的なので、今が安泰でも将来のことを考えると不安でしかありませんでした。

そのため、セールスレター、顧客獲得、テレアポ、マーケティングなど、営業系の書籍やセミナーに興味を持ち、知識を蓄えるためにそれらを購入しました。また、時々短時間のセミナーにも参加しました。

1通の無料セミナーメールから、私の人生が再び変わり始めた。

その頃、私はさまざまなメールマガジンに登録していました。無差別にメールマガジンを登録していたため、私のメールアドレスはリスト化されていたのでしょう。ある日、見知らぬ人から無料セミナーの案内メールが届きました。

この無料セミナーは幕張メッセの大会場で開催される予定で、テーマは「お金」でした。セミナーの主催者は、「金持ち父さん」で有名なロバート・キヨサキやアンソニー・ロビンスなどの有名コーチから学んだ人物だということでした。無料ということで、私はセミナーに参加してみることにしました。

今振り返ると、私が現在の人生を歩んでいるのも、このメールのおかげです。結果的には、今は経済的にも仕事的にも満足しており、自分自身を肯定的に捉えています。しかし、8年前までは、このメールのおかげで起業に失敗し、どん底の状態を経験していました。時々、このメールを開いたことを後悔したことも何度もありました。

いずれにせよ、ちょうど15年前、このメールを開いて無料セミナーに参加したことから、私の人生は再び大きく変わり始めたのです。

無料だが価値ある素晴らしいセミナー

幕張のセミナー会場に着いたとき、まず驚いたのは来場者の数でした。無料とはいえ、100名以上が集まっていたのではないでしょうか。会場は満員でした。後に聞いたところ、主催者は情報商材のセミナーも行っていたようで、集客の大半は情報商材関連の人たちだったようです。当時の私は情報商材について全く知識がなく、なぜこれほど多くの人が集まるのか不思議でした。

セミナーの内容は、一方的な話だけでなく、参加者同士でセッションを行うような体験型のセミナーでした。主催者は非常に話が上手く、私はすっかり引き込まれました。ロバート・キヨサキについては本で読んでいましたが、このセミナーに参加して改めてお金について考え始めました。15年以上前のことなので、セミナーの詳細は覚えていませんが、特に印象に残ったのはゲスト出演していた井口さんのスピーチでした。

「もし最後の日に、なぜもっと人を愛し、愛を伝えられなかったのだろうと後悔することになるでしょうか」
「もし最後の日に、なぜもっと行動しなかったのだろうと後悔することになるでしょうか」

非常に情熱的なスピーチでした。

このようなスピーチの内容が私の心に響きました。当時の私でも、そして今でも、このようなスピーチが煽り文句であることは理解しています。しかし、人生は有限で一度きり、果たして自分は最後の瞬間に後悔なく死ねるだろうかという疑問が残ります。

これは厳然たる事実です。私は、人生の最後の瞬間に「ああ、楽しい人生だった」と笑いながら、そして満足しながら死にたいと思っています。このような終わり方をするために今を生きているのだと思います。

そのような私の価値観と井口さんのスピーチがリンクしたため、今でも記憶に残っているのでしょう。