ハローワークの職業訓練でWebデザイナーになるまでの道のり
40代前半での転職のきっかけ
40代前半、私はリーマンショックの影響を受け、長年勤めていた広告代理店の営業職を失いました。突然の解雇により、家族を抱える身として強い不安と焦りを感じました。その後、何とか再起を図ろうと格安ホームページ制作会社の営業職に転職しましたが、営業成績が振るわず、残念ながら再び解雇されることに。二度目の解雇は精神的にも大きな打撃で、自信を失いかけました。しかし、現状を変えるためには行動が必要だと自分を奮い立たせました。
営業職しか経験のない自分にとって、この先どう生きていくべきか悩みました。そんなとき、ハローワークで「職業訓練」という制度を知り、Webデザイナーへの転身を決意しました。
職業訓練での新たな挑戦
職業訓練では、Webデザインの基礎から実践的なスキルまで幅広く学べました。HTMLやCSS、Photoshop、Illustratorなど、初めて触れるツールに最初は戸惑いましたが、講師や仲間たちの助けを借りながら、少しずつできることが増えていきました。特に実習では実際のWebサイトを模した課題が多く、デザインの基礎理論だけでなく、ユーザー目線でのデザインやアクセシビリティの重要性についても深く学べました。授業後も自宅で復習し、オンラインの無料教材やYouTubeを活用して理解を深める努力を続けました。時には課題提出の締め切りに追われ睡眠時間が削られることもありましたが、その分完成したときの達成感は大きなものでした。知識ゼロの状態から、簡単なバナーやLP(ランディングページ)の制作ができるようになったときは、大きな自信につながりました。
さらに、この職業訓練では月に約10万円の給付金が支給されました。家族を養う立場としては非常にありがたく、この支援のおかげで生活の心配をせず、勉強に専念できました。蓄えがあったとはいえ、長期間無収入でいるのは不安です。給付金の存在は本当に大きな支えでした。
営業経験が活きるWebデザイナーへ
20年以上営業畑で働いてきた私は、営業職が体力や気合を求められる世界だと身をもって感じていました。年齢を重ねると、体力の衰えは避けられません。営業職は「頑張れば何とかなる」と言われるものの、その再現性は年齢とともに低下していきます。特に、営業では飛び込み訪問や長時間の外回りが求められることも多く、年齢が上がるにつれて心身の負担は大きくなっていきました。過去には猛暑の中、一日中取引先を訪問してヘトヘトになったことも数えきれません。しかし結果が伴わないこともあり、”努力=成果” という単純な構図が成り立たない場面が増えていきました。
一方で、Webデザインの仕事は技術職です。スキルを身につければ、年齢に関係なく再現性のある成果を出せます。時間をかけて学んだ分だけスキルが蓄積され、同じ作業でも効率よく質の高いものが作れるようになるのは営業職にはなかった魅力でした。さらに、私は営業経験があるため、クライアントとのコミュニケーションや提案力には自信がありました。例えば、Webサイト制作の提案時にクライアントのニーズを的確に引き出し、それをデザインに落とし込むことができます。また、営業時代に培ったプレゼンテーション能力や交渉スキルも活かせる場面が多く、単にデザインをするだけではなく、顧客の課題解決を意識した提案ができるのは大きな強みです。
この半年間の職業訓練で身につけた技術と営業スキルを組み合わせることで、他のデザイナーより少しアドバンテージを持てたと感じています。特にクライアントワークでは、相手の意図を正確に汲み取り、それを形にすることで高い評価を得ることができました。”ただ作る” のではなく、”売れるサイトを作る” という視点を持てたのは、営業経験があったからこそです。このように、過去のキャリアが無駄ではなく、新たな道で生きていると実感できたことは、自分にとって大きな励みとなっています。
この半年間を振り返って
半年間の職業訓練は、私にとって人生を見つめ直す貴重な時間でした。営業一筋だった自分が、未経験の分野に飛び込むのは勇気がいりましたが、「変わりたい」という気持ちが後押ししてくれました。最初の頃は不安でいっぱいで、授業についていくのがやっとでしたが、回を重ねるごとに新しい知識が自分の中に蓄積されていく感覚を覚えました。特に、課題で作成した自分の作品が講師やクラスメートに評価されたときは、これまで感じたことのない喜びと達成感がありました。授業以外の時間もスキル向上のために自主的に学び、遅くまでパソコンと向き合う日々が続きましたが、努力が形になることでモチベーションを保つことができました。
振り返ってみると、この半年間は単にスキルを習得するだけでなく、自分の将来について深く考えるきっかけでもありました。これまでの営業経験が無駄ではなかったこと、そして新しい分野に挑戦することで自分の可能性が広がることに気づいたのです。家族も応援してくれて、経済的な不安を感じつつも10万円の給付金が精神的な支えになりました。”やってみなければわからない” ということを身をもって学び、年齢に関係なく挑戦することの大切さを実感しました。
これからはWebデザイナーとして、新たなキャリアを築いていきます。もし今、転職やキャリアチェンジに悩んでいる方がいれば、職業訓練を活用するのも一つの選択肢です。年齢や経験に関係なく、新しい一歩を踏み出せる場がここにあります。この半年で得た知識と経験は、これからの自分にとって大きな財産です。諦めずに挑戦したことで、新しい自分に出会うことができました。